異世界転生した主人公は本当の異世界を知らない
「小説家になろう」などの投稿作品で、よく揶揄される異世界転生モノのストーリー、確かに主人公がチート能力を披露するものが飽和状態であるにしてもそこまで非難されるほどのものなのか、あまり小説を読まない無学な僕にとっては理解の範疇外だ。
知識もないくせにひねくれた思考を持つ面倒な日陰者タイプの人間にはよくあることだが、世間一般に問題視されることは「何が?」みたいな反応をして別のマイナーな着眼点に固執することでアイデンティティを保つ悪癖もとい持病がここでも顔を出しているのだろう、僕には異世界モノにこう言いたくなった。
固有名詞カタカナばっかしじゃん
転生系に限らずファイアーエムブレムとかもそうだけど、異世界=中世ヨーロッパの等式が半ば成り立っていることが僕はもう我慢ならないのだ。やれ魔導士やら聖騎士やらってカッコいい役職ばっか並べるのはいいけどどうしてそれが欧州風の名前でなければならないのかと。
そろそろこの点にメスを入れる作家の方はいらっしゃらないだろうか。いやいるかもしれないけどそういった作品がメディアでもネットでも一般認知されるほどフィーチャーされてるのを見たことがない。どうしてこうなっているのか、今日はこれについて妄想してみた。
考えられるのは、僕らが日本人だということ。かつておフランスという言葉があったように西洋文化、とくにその伝統的な部分に想いを寄せる風土は未だ色濃く残っているからなのではないか。今住んでいる国の対極にある成熟した文化のある風土で、なおかつ時代は前のものともあれば、イメージのしやすい「異世界」なのかもしれない。
でもそれって異世界じゃなくて、ディティールが少しばかり異なる「こちらの世界」ということではないだろうか。並行世界と名付ける方が近い気がする。
例えるならよくドラマに名門大学という設定で出てくる「帝都大学」くらいのひねりのない架空具合、これを異世界と名付けるから同じような世界観のものばかりになる。
ただそんなこと非難したってしょうがないこともわかった。人間の想像なんてたかが知れているし、逆にまるっきり異世界という設定を考えて手足が奇数本の生物を軸に物語が始まったとしても出オチもいいところでそこから読者の頭には内容なんてそれ以上入ってこないだろうからだ。
ここまでの分析を自慢げに終えた僕は、クリエイターよろしく逆を行く。
「現代」の、「日本」をテーマにした異世界
だからってカタカナばっかしにすることないじゃないか。日本にだって「きさらぎ駅」みたいな異世界の要素があるはず。あ、きさらぎ駅知らない人は調べちゃだめだよ、夜の帰り道とか電車とかで不安が止まらなくなりますから。
まあ別にあそこまでホラーじゃないけど、同じ日本語のはずなのに既視感のない固有名詞は作れるはず。そして聖騎士や魔法使いも現代日本に溶け込ませることができるはず(そういえばドラえもんにあったなあそんな話。魔法が日常で科学の方が空想になる世界。やっぱりF先生は未来に生きてる)。
というわけで、そんな考えから生まれた僕の異世界転生物語、一般的な異世界モノを軸に初期設定だけ思いついたので忘れないうちに書き残したいと思います。
『異世界転生してみたら魔王配下の区役所でお世話になった』
- 主人公は中村たかふみ、就活を控えた引きこもりネット民
- スーツを買いにコナカに行く途中、路線バスの事故に巻き込まれ意識を失う
- 目が覚めると病院なのだが、明らかに様子がおかしい
- ベッドの色が黄緑とかだし看護師さんがやたら甘酒を勧めてくる
- 外を見て自分が知らない世界にいることをなんとなく悟る
- 身分証がその世界とフォーマットが違うので警察に保護され書類とか書かされる
- そこで名前書くと「あ、市町村の方の村なんですね」とか言われる(異世界なので中邑の方が一般的なため)
- 住むところは一応決まるもののまた住民票関係の書類で区役所に行くものの、区役所なのにタワマンくらい高い
- 上の方何があるんですかと聞くと魔王や魔物の宿舎だという
- 区長が魔王なのだがそこそこ財政政策が優秀なおかげで3期連続当選している
- しかし魔物がコンビニ前にたむろしたり騒音問題に発展することもあり、魔物街の敷地もしだいに広まり始めている
- その現状を聞いた主人公がなぜか覚醒した交渉力と政治活動への情熱から区議会議員を目指すと共に議会の早期解散と人類の区長再興に向けて少しずつ区役所の上の階の魔物を追い払う物語
丸投げ
誰か書いてくれる文才のある方いらっしゃいませんか、共にディティールを練って異世界モノの天下とりませんか。
そんな夢のような並行世界を夢見て、今日はそろそろ寝ます。それでは。